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ちらの考え方

軍事研究を推進する国や研究機関に依存せず複業研究者を目指してみては?

投稿日:2017年2月25日 更新日:

こんにちは。ちらです。
最近、大学への運営交付金が減らされ、
代わりに軍事研究に関わる基礎研究費が大きく上昇
しています。
国としては、大学で役に立たない基礎研究をやるのではなく、
国の役に立つ基礎研究をやりなさいということなのでしょう。
まず大学への交付金を減らしてお金に困る研究者やポスドクを量産。
その後、お金をちらつかせて軍事研究へ誘い込む。
彼らのやりたいことが透けて見えますね笑

先日、ちらが所属する研究分野でも
軍事研究に携わるべきかどうかを議論する取り組みが始まりました。
軍事研究はけしからんと考える研究者、学生
軍事研究であっても研究ができるならやると考える研究者、学生
こんな業界にいるのは嫌だ・・・と考える研究者、学生
などに分かれてくるのかなと思います。

今日は大学院生、ポスドクそして研究者が軍事研究に従事するべきか否か、
そして研究を志す者が軍事研究の奴隷にならないためにはどうしたらいいかを書いてみます。
ここで書く内容はあくまで一人の博士課程の大学院生ちらの考えであり、
絶対のものではありません。

始まりは減り続ける大学への交付金、大学内で生まれる金銭的格差

あまり細かく書くと読むのも辛くなると思うので、できるだけ簡単に
現在の大学や研究者、そして学生などが置かれている状況を書いてみますね。

まず、始まりは小泉政権時代に始まった大学の独立行政法人化です。
ここでいったん大学は国の手を離れて独立法人となりました。
独立法人になったので自分たちでお金をとってきて運営することができます。
ただし、大学の研究は長い目で見て成果を出すものも多く、
そもそもお金にならない分野も存在します。
工学部や医学部などの一部の学部、研究科は
企業との共同研究を行いつつ、国の運営交付金をもらっています。

しかし、大半の学部、研究科に関しては、
お金の仕入れ先は国に依存したまま。国の科研費や交付金に頼り続ける状態に。
ここ数年その交付金も年々減少してきました。その代わり、自由に使えるお金ではなく、
国が指定した分野、テーマ限定の”プロジェクト研究予算”が増えました。
今はそのプロジェクト研究予算も減らされている段階です。
こうした中で、研究予算をとれてお金持ちになる研究者と
それができない貧困研究者に分かれてしまいました。

例えば、研究費が足りなくて学会参加も遠征費も全部自腹の学生と
研究費から全額支給される学生が同居するのが今の大学です。

特に、文系研究者、基礎研究に従事する研究者は貧乏になっています。
実は今大学では非正規雇用の研究者が増え続けており、塾講師のバイトと掛け持ちでないと生きられない人も増えています。
ちら自身も非正規雇用の数学者とお話したことがありますが、
「非正規の授業少なすぎてバイトしないと生きていけない。でもバイトで研究時間減る」
と仰っていました・・・

もっと大きな単位で見ると、各大学間での科研費獲得金額も異なるため、貧富の差が生じています。
大学間、学部&研究科間、個々の研究室間での経済格差があるわけです。

”すぐに役に立つ価値”
こればかりを追求する昨今ではなかなかお金を仕入れる先がないわけですね。
”価値提供”や”役に立つ”の考えは以前コチラで書きました。

しかも大学教員のポストは少なく、研究費だけでなく、
生活レベルでも苦労するポスドク、非常勤講師、大学院生が後を絶たない状況。

「賢いんだからお金稼げよ!大学行ったのは自己責任だろ!俺たちも大変なんだよ!」
これが大衆の声でしょう。
大学に行ってない人もいるわけですし、こういう声が出るのは至極当然です。
ですが、大学の研究機関で学ぶスキルはお金を稼ぐためのものではないのです。
大学は長い目で見て国や人類の発展のための人材育成の場です。
決して企業に都合のいい人材育成の場ではありません(最近みんな勘違いしてますが)。
短期的に金になるというだけの目的で存在する組織ではないのです。
そもそも、教育や将来の国のための人材投資は国の責務です。
これがちゃんと為されてないのでいたるところで不満が出るわけですね。

減り続ける交付金の代わりに降り注ぐ軍事研究費! お金があれば研究できる・・・けど・・・

そんな状況下で国が放ってきた砲弾、それは
”軍事研究やるならお金たくさんあげるよ~!研究できるよ~!”
というものでした汗
軍事研究に付随する基礎研究であればお金をたくさんくれるというわけですね。

大学を貧乏にし、研究者を貧乏にしてから、軍事研究費という餌をまく

これでお金に困った研究者が自分たちの言うことを聞き、
やらせたい軍事研究をスムーズにやらせることができるというわけです。
倫理的に軍事研究がよくないとは言っても、
自分や家族の生活がかかれば軍事研究を行う人も出るでしょう。
恐らく、軍事研究に携われば通常の大学職より給料も良くなると思われます。
軍事研究する大学院生に給料が出て奨学金免除、学費免除になる可能性も指摘されています。
もしそうなれば貧困にあえぐ学生からすれば素晴らしい待遇でしょう。

貧乏な研究者や大学院生に対して、研究ができてお金もちゃんともらえる環境を提示する。
こうなれば倫理性など四の五の言ってられず、
軍事研究を行う人がどんどん出てくるでしょう。
下手すればこちらが大多数になるかもしれません。

軍事研究が悪だとは言いません。
航空力学などは軍事研究があったからこそ発展し、
そのおかげで今僕たちは飛行機で短時間で長距離移動できるわけです。
一概に軍事研究が悪とは言えませんし、
そもそもサイエンスは存在するだけで悪にはなりません。

あらゆる技術や知識は利用用途次第で姿を変えるわけですから。

ただ、こういった状況で、国の都合のいい研究者が大量生産されてしまえば、
古き良きアカデミアはますます失われるでしょう。
軍事研究に関与できない研究者は淘汰され、滅んでいくでしょう。
一度失われたものはそう簡単には再生できません(絶滅危惧種や地球温暖化などもそうですよね)。
軍事研究に多くの研究者が流れ込むことで、
長い目で見て価値になる多様な研究が失われていくでしょう。

学生レベルでもこれが起こればもうおしまいです。
ただでさえ跡継ぎが不足しているのですから。

で、こういった状況になってはいかんとちらは思うわけです。
この問題では、綺麗ごとを抜きにすれば、
”研究者が貧乏で自由に研究ができない”
”国に研究者としての生殺与奪を握られている”

というのがネックなわけです。

国に依存せず、複業研究者となり軍事研究を行うかどうか吟味せよ!

繰り返しますが、軍事研究そのものは悪だとは思いません。
ただ、自分の中で選択肢がないからというネガティブな理由で
軍事研究を行うのは良くないと考えています。
仕方なく軍事研究を行うのではなく、本当に自分がそうしたいかを考えるべきです。
そのためには、
”国の意思に振り回されずに自分たちがそれなりに生活できて研究できる環境”
これを維持できるかどうかがキーになります。
ようするにある程度のお金を国や大学依存でないところから用意できるかどうかです。

そこで、ちらが考える解決案は
”自分サイズ起業で複業研究者になる”
ことです。
国の研究機関に属さなくともある程度の収入を得られれば軍事研究にNOと言えるわけです。
だって国はお金を撒き餌にして
研究者を軍事研究の海に引きずり込もうとしているわけですから。
お金を別ルートで取ってこられればいいんです。
今はインターネットもあります。クラウドソーシングもあります。
個人の得意やスキルを活かして自分の必要な資金を得るために適切な規模で起業できます。
もちろん、研究とは異なる特性も多いので勉強や実践が必要になります。
ただ、博士課程に進める時点である程度知的労働への耐性はあるはず。
対人活動が苦手でもインターネットなどを通してビジネスを始められます。

ちらは元々学費に困窮する貧乏学生でしたが、副業を持ち、複業大学院生になることでなんとか大学に通えています。
これに関しては先日の記事で詳しく書きました。

みんながちらと同じことをやる必要はないと思います。
もっと大きな規模で研究者間で協力して実業をやるのもアリでしょう。
文章力がある人文系研究者はライター業などに適正があると思いますし、
理系の研究者であればプログラマーやコンサル系の副業にも適正があると思います。
ビジネスを所有し、複業研究者になることで、長い目で見て自由に好きな研究ができるのでは?
とちらは考えています。
あまり前例もなく、実際に研究時間が多少減るという弊害もありますが、
自分のやりたいテーマを貫くための一つの戦略としては十分有効ではないでしょうか?

少なくとも、ちらは自由に好きな研究をするために”研究者”を目指しており、
国や大学の言いなりになる”研究職”を目指したわけではありません。

今も試行錯誤が続いている状態ですが、
研究には多様性が必要ですし、こういった生き方もアリなのかなと思います。

 

以下、ちらの関連ツイートです。

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